私的名馬館

2009年11月09日06:00

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『運』があれば…ベッラレイア

ベッラレイア

引退の一方を聞いたとき、絶句した…。
三年越しの「エリ女」、今度こそ!と思っていた。
…また『運』に見放された。
トップロ産駒、唯一の重賞勝ち馬として活躍が期待されたベッラレイア。
ダスカ、ウオッカと並び最強世代 No.3 といわれながら結果は…。
通算17戦３勝、重賞はフローラＳのみ…。

こんなはずではなかったはず。
競馬にタラ・レバは禁句であるが、『運』さえあれば…
ベッラレイアはもっと輝いている馬だった。

三歳春は除外に泣き、三歳秋は故障に泣いた。
四歳以降は賞金に泣き、馬場に泣き、天気にさえ泣いた。
（その都度、姫福＆ドーベルも泣いた…失礼。）
そして何よりも騎手に泣いた。
主戦の秋山が「男」に成りかかった時もあった。
しかし「男」には成り切れず、その後の成長は感じられなかった。
やはり一流とそれ以下には確たる境界があるのだと痛感した。

五歳秋、強行とも言えるローテーションに彼女は耐えた。
ようやく府中牝馬Ｓできっかけを掴んだかに思えた。
嬉しかった。
これで「エリ女」で乾坤一擲の勝負ができると思った。
しかし…出走は叶わなかった。

彼女にはこれから母として第二の役割が待っている。
それは父であるトップロードの夢を、ファンの夢を紡ぐこと。
そして亡き父の「血」を後世に伝え広めること。

確かに彼女は「頂点への道」を登り切ることができなかった。
GI制覇という記録は残せなかった。
しかしベッラレイアという「夢」を与えた牝馬の記憶を残した。
だからファンは待っています。
あの華麗な姿と末脚に再び巡り合えることを。

引退の決まった今、彼女に声を高らかにして言いたいこと。
それは『お疲れさま』、『ありがとう』という言葉だけ。
たくさんの思いを胸に秘め、ファンは彼女の仔に会うことを心待ちにします。
そして３年先、彼女の初仔がターフに現れるとき
このブログでも、皆さんに伝えようと思っているメッセージがあります。
それは…

『夢の続きを見に行こう』

です。

タグ：: ベッラレイア; エリザベス女王杯; 引退

2008年12月15日10:05

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稀代の名マイラー

ダイタクヘリオス

通算３５戦１０勝　
重賞７勝（内マイルCS２勝）

名マイラーというより「迷」マイラーだったかもしれない。
マイルＣＳ２回にマイラーズカップ２回というようにマイルに強いのは確か。
しかし1200のクリスタルから2000の高松宮杯までその適性は広く、オールラウンドであったと思う。
中でも92年の毎日王冠はスタートから一気にゴールまで押し切るという強い内容で、後続に影すら踏ませない圧倒的な内容であった。
さすがに次走の天皇賞では３人気に支持されるものの、本来の適性外の距離と展開がたたり失速・８着は仕方のない結果であった。
またヘリオスはとにかく人気を裏切る馬で、特に古馬になってからは１人気に支持されると連を外し、勝つときは人気薄がほとんどという、エリモジョージ（古っ）みたいな馬であった。
厩舎ではおとなしいのにレースに行くと煩いのも特徴で、まさにつかみ所のない愛すべき一発屋だった。
馬券では結構泣かされたものの、美味しい馬券にもありつけたこともあって、次第に「次はどんなレースをする？」と興味が尽きない馬だった。
ラストランとなった有馬記念。「いくらなんでも冗談だろ」と思っていたら堂々と出走してきた。
「何かしでかすか？」と期待し有馬で勝負したら、見事に撃沈。
しかもレースを引っ掻き回すだけ引っ掻き回し、その「らしさ」を存分に見せつけての引退であった。
もう笑うしかなかった（笑）

ヘリオスを語る上で欠かせないエピソードが２つある。
ひとつは騎手・岸滋彦との出会い。
迷手は迷馬にふさわしい。晩年は華がなくなり、ひっそりと引退してしまった岸騎手。
彼にとってヘリオスは代名詞とも言える馬。
騎手として全ての悲喜こもごもはこの馬との歩みであったと思う。
語り継がれる迷馬に出会えたことは、今となってはかけがえのないものであった。
もう１つは漫画家よしだみほ氏によるダイイチルビーとのマンガ。
「ヘリオス・ルビー恋物語」と題されたシリーズはたまたま出走が重なった両馬をモチーフに描かれたものであるが、あれよあれよとシリーズが一人歩きし「名作」となった。
このシリーズでヘリオスのファンは一気に増えたと今でも信じている（笑）
現実にはけっして結ばれることのなかった両馬。
しかしこの思いは「ウィニングポスト」というゲームの中で実現するというオマケが付いた。
産駒には恵まれなかったヘリオスも一応、ヤマトというGI馬も輩出、メンツを保ったことは嬉しい限りである。
昨年、ルビーも他界し今年はヘリオス。来世では結ばれるといいなぁ…。

最後に繋用先であった青森の山内牧場さんのブログから言葉を引用させていただく。
そして、この項を閉じさせていただきたいと思う。

『ヘリオスの前にヘリオス無し、ヘリオスの後にヘリオス無し』…合掌

タグ：: ダイタクヘリオス; ダイイチルビー; ダイタクヤマト; マイルCS; よしだみほ

2008年12月09日06:00

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幻のダービー馬

ガレオン通算8戦2勝

父・リアルシャダイ、母・オークス馬のシャダイアイバー
美浦。二本柳俊夫厩舎　主戦騎手・杉浦宏昭

［序章］
コアな競馬ファンなら必ず「幻のダービー馬」を秘めていると思います。
殿福にとってその馬にあたるのが「ガレオン」。
昔、チヨノオーとアルダンのダービーをビギナーズラックで当て、どっぷりハマッた競馬の世界。
ご多分に漏れずPOGを覚えたのもこの頃。
最初に持ったPOG馬がオンエアー（父・セクレタリアト）という良血馬。
当時は血統もわからず、厩舎・騎手の知識も乏しく、「世界の良血」という雑誌の帯タタキだけで決めました。
ところがこの馬が新馬を勝ち、クラシック戦線に乗りかかったから、さあ大変。
地元中山での京成杯、馬券ガッチリ買って応援に行きました。
…結果はレース中に故障発生で予後不良に…。
競馬の悲哀を味わったのはこの時が最初でした。
そして同時にオンエアーの「志」を受け継ぐ馬を同厩舎（二本柳）、同騎手（杉浦）で求め始めたのです。
今から考えれば、ナベ彦のようなマイナー騎手へのこだわりはこの時に始まったのかもしれません。

［ガレオンとの出会い］
翌年、黒鹿毛の元気な仔が二本柳厩舎に入厩してきました。
母はオークス馬の良血。
主戦・杉浦は間違いなく（笑）、直ちに応援馬に決定しました。
ガレオンはデビュー戦を１人気で快勝。
続く芙蓉Ｓこそ３着に取りこぼしましたが続くアイビーＳを勝ち上がり、クラシック戦線に名乗りを上げました。
ところがこの後、どうしたわけか敗戦が続き（府中三歳８着、若葉４着）、迎えたのが運命の皐月賞でした。
この年のクラシックはビワ・タイシン・チケゾーという、いわゆる「BNW」の年。
近走で敗戦していたガレオンは９番人気の低評価でした。

［運命の一瞬］
皐月賞の時は正直、単複を思いっきり勝ってました。
レース前の低評価を覆すがごとく見事に３着に入線…のはずだった。
馬券も複勝ががっちりだった…結果はご存知の通り。
ステージチャンプの進路を妨害したことで痛恨の降着。
VTRを見る限り、豊のタイシンがよれて押し出される形でガレオンが斜行したように見えたのですが…。
これにより手に入れていたダービーのチケットはフイになってしまいました。

［乾坤一擲の勝負］
元々脚下に不安があったガレオン。
陣営はダービー出走を目指してNHK杯出走を決めました。
鞍上は停止中の杉浦に変わり岡部騎手。極力、負担をかけず出走権を取ることに徹したレース。
結果マイシンザンに屈し２着でしたが請負人・岡部騎手の本領発揮といったところでした。
そして迎えた運命のダービー…。
結果は４着でした。
外をぶん回した杉浦の騎乗も「芝の良い所に出して…」とも見えましたし、前走で負けたマイシンザンはキッチリ退け、本来の実力はこっちが上というのも立証しました。
故・大川慶次郎氏をして、「NHK杯が余分だった。あの皐月賞の降着さえなければ、この馬がダービー馬だったかもしれません。」と言わしめた馬・ガレオン。
このレース後、腱の不全断裂が発覚、二度とターフに戻ることはできませんでした…。

引退後、種牡馬となったガレオン。
重賞勝ちもない本馬に牝馬が集まるわけもなく、あっという間に種牡馬の座から追われてしまいました。
産駒もガレアスがちょっと話題になったくらいで彼の血を受け継ぐ（牝馬も含めて）者は現れませんでした。
その後の消息は…（泣）。
今では「ガレオン」という馬名すら記憶に残っていないファンも多いんじゃないかと思います。
勝負の世界だけに結果が全てなのは重々承知しています。
でも１人くらい「ダービー馬」の称号を胸に秘めているファンがいてもいいですよね。

トップロードに続く第二弾。やはり長文になってしまいました。
ここまで読んでくれた方、感謝いたします。

タグ：: ガレオン; 杉浦宏昭; 競馬; BNW; POG; クラシック

2008年05月14日07:58

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不世出の名馬

ナリタトップロード
菊花賞

記録よりも記憶に残る馬だったと思う。
何よりその光り輝く栗毛の馬体と端正な顔立ちは、見る者全てを魅力し、醸し出す雰囲気は気品すら漂わせていた。
その馬の名はナリタトップロード。
屈指の名ステイヤーであった。
一流馬の彼ではあったが、残念ながら超一流馬ではなかった。
それ故、大レースでは取りこぼしが多く、常に強さと危うさを背中合わせに持つレースが続いた。
彼を語る時、もう１つ欠くことのできない要素、それが騎手渡辺薫彦の存在。
性格だけが取り柄のおよそ勝負事に向かない青年騎手。
この二流騎手と超一流になれなかった馬のコンビだからこそ、彼達の物語は完結したのである。

「勝利至上主義」の風潮が強い競馬界において騎手の乗替は日常茶飯事。
そんな中、無名に近い騎手を乗せ続けた関係者の英断には頭が下がる思いである。
コンビも期待に応え日々成長し続けた。
特に印象的だったのがダービー。
想像を絶する重圧の中、あと一歩、本当にゴール寸前で豊に差された。
してやったりの豊に対して悔恨の念を隠せない渡辺。
この光景こそが「このコンビの成長を見守っていきたい！」
とトップロードファンの心を鷲掴みにした瞬間（姫福はまさにそれ。）であった。

秋、トップロードは菊の大輪を咲かせる。
ファン待望の瞬間であった（和田の乗り損ねという説もあるが、勝ちは勝ち）
が、これからが苦難の始まりだった。中山（有馬）はともかく、本番で結果が出ない。
前哨戦で圧倒的なパフォーマンスを見せても本番につながらない。
ファンの期待は常に高まり、そして結果に落胆する…。
ＧＩ馬の彼にとって、２着以下の着順はもはや無意味。
ファンの期待は「２冠目」だけだった。当時のファンのコメントにこんなのがある。
「いつもハラハラドキドキ、勝っても、負けてもトップロードのレースは泣けちゃうんだ…」（by姫福）
「トップロードに競馬の全てを教わった」（by姫福）
また、彼は木刀騎手のお蔭で落馬競争中止となり危うくPTSDになりかかったり、渡辺とのコンビ解消の危機？
に陥いったりと、幾度かアクシデントにも見舞われることもあったが、何とか無事に競争生活を終えることができた。
引退レースとなった有馬記念で不利な条件にもかかわらず好走できたのは、ファンの汗と涙の後押しがあったからに他ならないと今でも信じている。

引退後、種牡馬となった彼に会うため北海道に行った。
のんびりと草を食む彼の姿に、内国産種牡馬不遇の時代に１頭でもいいからＧⅠ馬を輩出してほしい!!
そんな祈りを込めた。
…訃報は翌年に届いた。
ただ、ただ絶句した…。
残せた世代はわずか３世代…。
それでも競馬会は日々動き続ける。
ファンの夢とロマン、願いをのせて…。
今週、ベッラレイアが出走する。
トップロード産駒でいちばんＧⅠに近いところにいる仔だ。
「頂点への道」を駆け上ってくれることを祈りつつ府中に行く。
殿福家にもラストクロップがいる。
「エルクラシコ」という名でマックスビューティの甥にあたる馬である。この馬、難点は芦…。
いや、今は言うまい!!トップロードの仔には変わりない!!

最後に訃報に接したときの姫福の言葉を紹介し、今日のブログを締めくくりたいと思う。
本日は長文を読んでくださり、ありがとうございました。

「これからも大好きな馬、応援する馬は現れると思う。
でもトップロードほど夢中にさせてくれる馬は、二度と現れないと思う」（by姫福）

≪追記≫
ベッラレイア（別項あり）はGIを勝てずに引退。
ウチのエルクラシコも未勝利で終わりました。
トップロードの血脈が残されていくことを、ただ、ただ願うばかりです。

タグ：: ナリタトップロード; 渡辺薫彦; ベッラレイア; エルクラシコ

ねっとわ～く

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